団長

サーカス団「マージョリーノエル」を仕切っている団長。
サッテスピリェトガストラバーという本名の山猫です。

サーカスの行列では、紅いマントをはおりシルクハットをかぶり最後の馬車に乗っています。

エピソード
火が列を組んで暗いなかを遠ざかっていくのを満足そうに見送ると、団長は自分も月に乗りこんできました。
「俺は山猫のサッテスピリェトガストラバーだ。長くって下噛みそうだろ?団長と呼んでくれ」
月のおばさんと握手を交わしました。
「あたしの名前も、生まれた時は月に届くくらい長くってさ。名前をつたって月に登って、今では月のおばさんさ。月のおばさんと呼んどくれ」
「ほんとかい?」
団長はおかしそうにひげを震わせると、おばさんに言いました。


「あんた気に入ったよ。いいかい。ゆっくり低めに飛んでくれ」
「よしきた」
おばさんはググーッと月を傾けると、スピードをあげてほとんど垂直に空へ登っていきました。
「おいおい、やめてくれよ」
団長は月にしがみつきましたが、そこはサーカス団の団長です。体勢を立てなおすと三日月のてっぺんにマントをひるがえして直立し、帽子を取っておばさんにおじぎしました。
「失礼しました。月のおばさん。ゆっくり低く飛んでいただけますか?」
「団長、あんた気に入ったよ」
月のおばさんはゆっくり降りていくと、死の森をめざして飛びはじめました。

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