蓼科の夏
   Tateshina Diary
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   池田あきこ先生の蓼科の「山の家」のすぐ近くにある小川。
     左下の写真は実際の小川の写真です。
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この小さな川を舞台に私はたくさん絵を描いた。 
    といってもスケッチではなく、物語の中の絵だけれど。 
    これは陶器のシリーズ用に描き起こしたもののひとつで、たしかハーブティだったかしら。 
    どんな物語かといえば猫のダヤンを主人公にした架空の国「わちふぃーるど」の物語。それをもうずーっと作り続けていて、まだこれからも作っていくつもりでいる。 
    はてご苦労な話だが、これがあんがい面白い。 
    そして蓼科の暮らしはこの架空の国を作るにあたってずいぶん私を助けてくれている。 
    15年前蓼科に家を建てた時はそんなこと思いもしなかった。 
    夫に「おい、蓼科に家を建てないか。」と言われた時も「ひぇー!」とたまげ、「別荘なんてめっそうもないよ。それより、そのお金で温泉に行こうよ。」と押し止めようとしたものだ。その頃、ちょうどダヤンが生まれたばかりで、私は出来たてふにゃふにゃの架空の国を模索していた。 
	
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  イメージとしては北欧だが、想像ばかりで足元はさっぱり固まらない。 
  そんな中、始めて蓼科の八子ヶ峰に登った。 
  そして尾根をサーッと吹き渡る風を受けた時、なぜか唐突に感じたのだ。 
  「あっ、これはわちふぃーるどに吹く風だ!」 
  遠い所にあると思っていたわちふぃーるどはとても近い所にあった。 
  蓼科はもちろんわちふぃーるどそのものではないけれど、確かに同じ空気が流れている。 
  からまつ林、きいちごの茂み、霧の深さ、朽木にぞろぞろ生えるきのこたち、数え上げればきりがないほど。蓼科で見たこと、感じたことはすんすん私の中に入ってきて、わちふぃーるどの物語を支えてくれている。 
  今もほら、目をあげれば丸木橋をメイプルさん一家が渡っていくのが見えるようだ。
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